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「良い第三者割当増資」と「悪い第三者割当」の違い アートスパークの例【保存版】

2021年12月13日

銘柄相談掲示板のほうに、アートスパークの第三者割当増資についての質問がありました。

アートスパークとは、東証2部上場の会社で、イラスト制作ソフトの販売や車載向けソフトの商売をしています。

特に、イラスト制作ソフトであるCLIP STUDIO PAINTは、パソコンやタブレットで漫画を描く人にはもはや必須のソフトです!

私も一時期、漫画家を目指したことがありましたが(笑)、クリップスタジオペイントで書こうと思っていました。

ちなみにクリップスタジオのシェアはなんと60%以上!

出典:https://www.clipstudio.net/oekaki/archives/151996

お絵かきツール業界では、トップをひた走っているソフトウェアなんです。

このソフトウェアを開発販売しているアートスパークが、2021年12月10日に資本業務提携の締結及び第三者割当増資による新株発行に関するお知らせをIRで出しました。

通常、第三者割当増資は「増資」なので、1株あたりの株式が希薄化して、既存株主にとって保有している株式の価値が下がります。

それが嫌気されて売られるケースもあるわけですが、今回のアートスパークホールディングスのケースでは、おそらく逆で、これを好感して買われるケースになると思います

今回は良い事例だと思いましたので、「株価が上昇する良い第三者割当増資、悪い第三者割当増資の違い」について、私なりの見解を書いていきたいと思います。

まず、今回のアートスパークの第三者割当増資について確認していく前に、増資の種類について整理していきましょう。

増資の種類

増資には以下の3つの方法があります。

種類 割当先
公募増資 不特定多数
株主割当増資 既存株主
第三者割当増資 特定の第三者

今回の増資は、一番下の第三者割当増資です。

アートスパークの第三者割当増資の詳細について

今回の割当予定先企業は、LINE Digital Frontier 株式会社という会社で、電子コミックサービスLINEマンガを運営しています。

 

この親会社が、WEBTOON Entertainment Inc.という会社です。

WEBTOON Entertainment Inc.は、縦読みフルカラー形式の漫画を提供している企業で、究極の親会社はあのネイバーです。

ネイバーは韓国の会社で、日本では皆さんのスマホにおそらく必ず入っているであろうLINEの親会社だった会社です。
ちなみに今のLINEの親会社は、Zホールディングス(Yahoo!)なのでご注意ください。

アートスパークホールディングスから出たお知らせによると、今回の第三者割当増資で発行する新株株式数は普通株式1,722,400株になります。

 

 

今の発行済株式総数が32,709,852株なので、希薄化の割合で言うと約5.3%になります。

希薄化割合で言ったら、そんなに大したインパクトはないと考えます。

あとこの「お知らせ」をよく読み込めば書いてありますけど、

ということで、なんと約4.7%※ほど、LINE Digital Frontier が市場から普通株式を取得する予定なんです!
※10% - 約5.3%

要するに、今、市場に出回っている株式が、LINE Digital Frontierによって買われるわけですから、流通する株式(流動株)が減少する効果が見込めます
感覚的には、増資の希薄分をほぼ帳消しにできる感じです。

さらに言うと、既にお気づきの通り、割当先はLINEマンガという「漫画事業」をやっている先ですから、資本業務提携によるビジネスによる相乗効果も大きく見込めるわけです!

「CLIP STUDIO PAINT」販売拡大のためのマーケティング協力のインパクトは大きいと感じます。

割当先企業のLINE Digital Frontierは、割り当てられた株をすぐ売ることは無いでしょうし、需給関係的にも大きな影響はないでしょう。

以上の点を総合的に考えると、今回の第三者割当増資は、アートスパークホールディングスにとって、売上高や利益を伸ばせるチャンスであり、既存株主にとっては、市場に出回っている株式を買ってくれる人が出てくるわけですから、非常に良い第三者割当増資として評価され、おそらく週明けの月曜日はストップ高になると思います。

但し、直接すぐにEPSが良くなるとかの話ではないので、連チャンでストップ高するかは分かりませんが、もし調整するようでしたら、将来的な展望は明るいので、購入しても良いと思います。

良い第三者割当増資の事例

参考までに、良い第三者割当増資の事例として、ソニー傘下で医療従事者向け情報サイトで製薬会社の情報提供支援を手掛けているエムスリーの例を挙げたいと思います。

2019年2月28日にNTTドコモとソニーに対し第三者割当増資を行い、手取り概算金500億2728万円を調達すると発表。

調達資金はメディカルデータベース事業を展開している日本アルトマーク(東京都港区)の株式取得費用に66億円、NTTドコモとの合弁会社設立に2億4500万円を充当。残額は、事業基盤の獲得・拡大を目的にしたM&A(企業の合併・買収)費用に充てるということでした。

「事業基盤の獲得・拡大を目的としたその他のM&Aに伴う株式取得費用等」が超重要ポイントです。

エムスリーでは、医師データベースを持っている海外の会社や、医療機関向けのソフトウェア開発会社などをM&Aしてきましたが、それを加速させるための資金を手に入れることができたわけです。

その結果、どうなかったのかというと・・・

株価は、約5倍まで上がりました!
M&Aの威力、スゴイですね!

 

悪い第三者割当増資とは

悪い第三者割当増資は、簡単に言うと「後ろ向き」の第三者割当増資です。。

例えば、会社の経営状態が悪く、資金繰りに困っているときに、投資ファンドなどに行う第三者割当増資です。

つまり、

・第三者割当増資の目的が「運転資金の確保」や「財務体質の改善」など、将来の成長に結びつかない

・第三者割当増資による株式の希薄化率が高い

・割当先への有利発行
お金に困っているからこそ、割当先に対して有利にしてしまう。そして既存株主は損をする。

使い道が「借金返済」「会社の成長に結びつかない」と、株価が下がる可能性が高く、最悪です!

例えば、2019年9月、小僧寿しは、JFLAホールディングスとEvo Fundを引受先とした第三者割当増資を実施しました。当時、小僧寿しは9億5,000万円の債務超過状態で、当期中に債務超過を解消できなければ上場廃止になる状況でした。希薄化率は脅威の296%2020年5月くらいまで株価が低迷しました。

最近ですと、JR西日本です。
公募増資などで最大2786億円を調達すると2021年9月1日に発表し、1株当たりの利益の希薄化を懸念した売りが出ました。
希薄化率は21.6%でした。

公募増資の理由としては、2期連続で連結最終赤字を見込んでいるため「財務基盤を強化」「大阪駅西側の再開発や鉄道運用の効率化」などに充てる方針ということですが、簡単に言うと資金的に苦しいから調達したという後ろ向きの公募増資だったと感じます。

株価も見事に急降下して、今も下げトレンド継続です。

始末が悪いことに、この公募増資の影響でJR東日本など鉄道株全体に売りが広がったんです・・・(苦笑)

 

あと最悪な資金調達ということでは、MSワラントも最悪です。

MSワラントとは、「Moving Strike Warrant(ムービング・ストライク・ワラント)」の略で、日本語に直すと「行使価額修正条項付新株予約権」です。要約すると、「前日の株価終値よりも安い価格で購入できるように、購入価格を修正する新株予約権」となります。

超簡単に説明すると、「直近の株価終値よりも安い価格で購入できるように、購入価格を修正できる新株予約権」のことです。
つまり、株価が下がったとしても、割当先は常に有利な価格で新株予約権を行使して、株を買えます。

MSワラントの発表が出ると、ほとんどのケースで株価は下落します。

さらに、MSワラントは株価が想定よりも下がりすぎた場合、権利の行使が進まず、予定していた金額が集められない可能性があるので、株価も下がり、資金繰りも上手く行かないという悪循環ループにハマる可能性があります。

ただし、行使できる下限価格も設定されているので、「株価下落→行使→株価下落」のスパイラルが無限に続くということはないです。

ちなみにMSワラントと公募増資の違いは、以下の通りです。

MSワラント 公募増資
割当先 特定の第三者 不特定多数
行使期間 長い
つまりダラダラと
希薄化する
一気に株数が増加
調達金額 行使次第で変動 一定

以上を把握して、良い第三者割当増資が、悪い第三者割当増資かをよく見極めてください。

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