「継続企業の前提に関する注記」と「継続企業の前提に関する重要事象等」の違いと解消による株価へのインパクトについて
「継続企業の前提に関する注記」と「継続企業の前提に関する重要事象等」の違いについて
1.「継続企業の前提に関する注記」
2.「継続企業の前提に関する重要事象等」
は決算短信等で 財務会計基準機構(FASF)マークの入っている公式な書面等に記載されている正式な名称です。
以下がFASFマーク
上記1.と2.は、「継続企業の前提に関する~」の部分が同じなので、同じものだと勘違いしている方が、意外と多いと思いますが、意味は異なります。
1.「継続企業の前提に関する注記」の意味
まず「継続企業」の意味を確認しましょう。
継続企業とは、「企業が将来にわたって無期限に事業を継続すること」
言い換えると、潰れないでずっと商売していくこと。
これが会社としての前提になります。
経営学的な用語では、「ゴーイングコンサーン(going concern)」と言います。
略して「GC」※と書く場合もあります。
※ゴールデンクロスではありません。
※ゴールドクロス(黄金聖衣)でもありません、笑
注記とは、その名の通り注記ですが、くだけた言い方をするなら「この会社、潰れるかもしれないから、ココに注意して!」と書いてあるものです。
注記を付けるか付けないかは、会計監査人が決めますが、以下の条件にヒットすると注記が付きます。
財務指標系
・売上高が急激に減少
・営業損失や営業CFのマイナスが継続
・債務超過
財務活動系
・買掛金など営業債務の返済が困難になる
・社債の償還が困難になる
・資金調達ができない状況
営業活動系
・不祥事等により取引先からの信頼を失い、商売ができない状況
・市場環境の変化に対応できず、事業活動が困難になる状況
・巨額な損害賠償金や違約金の発生
・取扱いブランドや企業イメージの悪化により、企業価値が大きく棄損した状況
一般的に「注記」が付くと、「ヤバい会社」と認識されて、株価が下落します。
上場廃止基準に抵触する場合もありますし、監理銘柄や整理銘柄に指定される場合もあります。最悪のケースとしては上場廃止になり、株価が1円とか1円でも売れない紙屑になります・・・
「注記」の表記には、いろいろバラつきがあります。
・疑義注記(ぎぎちゅうき)
・継続企業注記
・GC注記
・注記銘柄
どれも「注記」と書いてあるのがポイントです。
注記銘柄を確認できるサイト
SBI証券「本日の注意銘柄」の「継続企業注記銘柄」より確認できます。
https://search.sbisec.co.jp/v2/popwin/attention/stock/margin_M02.html
上記は一例です。
実は、かなりあります(苦笑)
旅工房とかグリーンズも入っています。
2.「継続企業の前提に関する重要事象等」の意味
「重要事象等」は、「注記」の手前の段階のことです。
くだけた言い方をすると「ちょっとヤバイかもよ」という感じ。
麻雀で言うと、
「倒産」=ロン
「注記」=リーチ(テンパイ)
「重要事象等」=イーシャンテン(一向聴)
麻雀が分かる人なら、この説明の方が感覚的に超分かりやすいと思います、笑
以下の条件(例)に当てはまると、「重要事象等」にヒットします。
・多額の損失を計上
・不祥事により業績が悪化
・その他、注意しなければならないこと
「重要事象等」のステータスになった後、更にヤバくなると「注記」になります。
「重要事象等」が書かれた銘柄を確認する方法
注記についてはSBIでキレイにまとめてくれていますが、「重要事象等」については残念ながら、キレイにまとめてくれているサイトはないようです。
方法としては、
https://tdnet-search.appspot.com/ でキーワード検索する方法が簡単です。
とにかく、ヤバいのは、1.「継続企業の前提に関する注記」と覚えてください。
注記や重要事象等が外れる(解消される)と、株価は跳ねる?
注記や重要事象等が付くと、株価は下がりますが、逆に外れる(解消される)と、株価は(一時的に)上がるケースが多いようです。
株価の変動って、ギャップの大きさに比例するので、注記や重要事象等が外れた時のインパクトはかなり大きいですからね。
関東学園大学の2017年に書かれた論文に以下のものがあります。
継続企業の前提に関する注記の記載解消と株価反応
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kantogakueneconomics/43/0/43_34/_pdf/-char/ja
かなり難しい分析をしていますが、ポイントとしては、
・GC 注記の記載解消は株式市場の好材料として評価されていると解釈される
・注記の記載解消に係る情報内容は事前に株価に織り込まれることはない
ということでしょう。
私の個人的な意見としては、外れた要因の詳細は個別に必ず確認する必要があります。
そもそも注記があったということは、ボロボロな状態で重病と闘ってきた会社なわけですから、病み上りとなって、すぐにトライアスロンができるかと言えば、それはムリなわけです。
ですので、注記や重要事象等が外れた後、株価が継続的に上昇するかどうかは、外れた時の理由によると考えます。
例えば、本業の業績でプラスの要素がある場合は、株価も上昇していくようです。
単にキャッシュフロー面で不安が無くなっただけでは、株価の長期的な上昇には繋がらないので、注意が必要です。
「継続企業の前提に関する注記」の記載解消 銘柄の探し方
これもhttps://tdnet-search.appspot.com/ でキーワード検索する方法が簡単です。
2020年1月~2022年6月に注記が外れた会社について確認した結果
2020年1月~2022年6月に注記が外れた会社について確認してみました。
月足チャート内にある↑が、解消の発表したタイミングです。
全部で14銘柄あり、注記が外れて株価が(一時的にを含めて)上昇した銘柄は
1.ニッコー
2.ダブルスコープ
3.サマンサタバサ → その後下落
4.ひらまつ
5.ワイエスフィード → その後下落
6.小僧寿し → その後下落
7.ワシントンホテル
8.Success Holders → その後下落
とりあえず8銘柄。
但し、持続して上昇しているような銘柄は、14銘柄中4つしかないです。つまり約28%。
ですので、注記が外れたからと言って、継続的に買われるとは限りません。この点には注意してください。
あと、一度外れても、再び注記を付されることもあるので、その場合は、超危険だと考えてください。
決算書を丁寧に精査すれば、注記や重要事象等が外れる予測をある程度できると思います。当たれば、一時的にかなりのギャップアップが見込めるので、投資手法としてはアリだと思いますが、分析に時間がかかりそうですね(苦笑)
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